キャリアに迷った「普通の医師」、見つけた活路は

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キャリアに迷った「普通の医師」、見つけた活路は

こんにちは、Dr.心拍と申します。私は現在、医師のキャリアについてざっくばらんに相談できる「医師キャリアコミュニティ」を運営しています。使っているのはLINEのオープンチャットで、チャット上では匿名で発言可能。

 寄せられる多くの声からは、現代の医療の世界が抱える問題、医師が直面する将来への不安などが伺えます。そして、みなさん「キャリア迷子」として悩みながらも、医師としてやりがいのある仕事をしたい、家族を大事にしたいなど、それぞれの真摯な思いを抱えています。

 本連載では、このコミュニティに寄せられた声を中心に、医師のキャリアについてみなさんと一緒に考え、充実した医師人生を送るためのヒントを探りたいと思います。

 連載の第1回となる今回は、なぜ私がこのコミュニティを運営しようと考えるに至ったのか、私自身が医師のキャリアに悩んだ経験、これまでの歩みについてご紹介します。

目次

勤務医として平凡…やりがいが
見つからない「キャリア迷子」に

 まずは、私の勤務医としての平凡なキャリアをご紹介します。市中病院で初期臨床研修を終え、その後内科医として後期研修、そして大学医局に所属して関連病院などに勤務し、大学院では基礎研究も経験しました。

 大学院時代は一種のモラトリアム感もあって、あらためて医師としてのライフスタイルを見つめなおす良い期間となったと思います。一方で研究に生涯を捧げるほどの情熱は持てずに、現在も関連病院で勤務医をしています。

 勤務医に戻って数年、いわゆる中堅内科医になったわけですが、ふと今後のキャリアに不安を覚えました。

 臨床において何か手技を極めたということもなく、かといって開業も興味がない…。

 自分は何にやりがいを感じることができるのか、これまで培ってきた経験を生かす道はどこにあるのか? 「キャリア迷子」として日々思い悩みました。

医師ライターの“複業”を始めてみたら…

 そんななか、経済的な将来への備えや、家族との時間を考え、医師ライターとして複業を始めました。当直バイトなどと違って自宅で行えるのが大きなメリットです。すると実際にやっていくうちにやりがいを感じ、少しずつ活路が開けていきました。

 医師ライターとして発信を続けるうちに、執筆だけではなく、医師向けのサービス監修など、仕事の幅も広がっていきました。そして、医師として、臨床医として、いわゆるエキスパートと言えるほどの立場ではない私でも、これまで培った医師としての経験が、医療現場以外でも生かされる場があるのだと気が付いたのです。

 例えば「イシヤク」という、医師向けの薬剤比較サービスの開発に取り組んだこともありました。

 現場の医師はどのようなコンテンツを望んでいるのか、どのようなサービスなら使いたくなるのか、そしてどういった課題を解決すべきなのか。サービスを良くするためには、こうした医師としての声が必要不可欠です。いろいろな方とディスカッションし、臨床医としての私の知識や経験がサービスに生かされることをリアルに感じることができました。

 自分のこれまでの経験によって、こういう医療現場以外の形でも社会に貢献でき、みんなの役に経つこともあるんだ…そう感じることができた、貴重な経験でした。

自分の経験を生かせるのでは…
コミュニティを開設

 自分のように、キャリアに思い悩む医師は多いはず。

 研究、臨床、開業といったいわゆる一般的な医師のキャリアの選択肢の中から、自分はこれという得意分野を見つけられる医師ばかりではありません。とはいえ、起業やフリーとして大活躍…のような、特殊な才能にあふれた人の真似も難しい。

 そんな医師が悩みを話しあい、情報交換ができる場があれば役に立つのではないか。自分がキャリア迷子として試行錯誤した経験を生かしたい。

 そんな想いで医師キャリアコミュニティを立ち上げました。

表に出づらい医師のキャリアが
共有されるコミュニティ

 私が活動拠点としているアザラシライティング塾という医師ライターの集まりがあり、医師キャリアコミュニティも、もともとはその仲間うちで始めました。メンバー同士は匿名でOK、ただし医師確認はしっかりと行い、いわゆる「本物」の医師以外はいない場だという安心感を保つよう意識をしています。

 医師の詳細なキャリアは表になかなか出ない情報だからこそニーズがある一方で、身バレというリスクを取り除かなければ、心からの悩みを打ち明けたり、意見を出したりすることはできません。投稿する人も読む人も、互いにwin-winとなる関係性を構築したいと思いました。

 加入条件として、いわゆる「ロム専」(投稿せず読むだけの参加)を禁止しています。他のメンバーのキャリアを知ることができるのだから、自分のこともしっかり共有していただくというルールです。身バレしない程度に、医師としてのこれまでの歩みと今後のキャリアに関する想いや課題を自己紹介がてら投稿していただいています。

 最初から外部のメンバーを入れなかった理由として、コミュニティの成熟を促したかったということもあります。いきなり人数だけ増えても、薄いコミュニケーションではせっかくのコミュニティが盛り上がらないからです。

 ある程度の期間を成熟にあてたうえで、今は医師であればどなたでも参加可能なコミュニティになっています。参加する際は医師免許の確認が必須です。もちろん無料です。

コミュニティを立ち上げて…
改めて感じる医師キャリアの難しさ

 当コミュニティは、私自身がキャリアに思い悩んだ経験から、自分と同じく将来への不安を感じている医師に何かの助けになればと立ち上げました。

 コミュニティの運営を通じ、多くの医師がそれぞれのキャリアに悩み、課題を感じていることを改めて強く感じています。時代の移り変わりとともに選択肢も増え、キャリアは多様化しています。またかつてと異なりさまざまな情報が入手しやすくなっているが故に、他人の状況が見えて迷ってしまう、というケースもあるでしょう。

 働き方改革、直美、など、キャリアに関する「ホットワード」も次々と誕生しています。コミュニティに寄せられる悩みや、その時々で盛り上がる話題も、本当にさまざまです。

 本連載では、コミュニティでの医師の声や最近の話題をフックに、読者のみなさんと医師のキャリアについて一緒に考えられる、そんな内容をお届けしたいと考えています。これから、どうぞよろしくお願いいたします。

 今回は、キャリア迷子になった「普通の医師」がどのようにしてキャリアを切り拓いていったのか、そして結果として「医師キャリアコミュニティ」の立ち上げに至った理由について、ご紹介しました。

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この記事を書いた人

呼吸器内科の勤務医とライター、ヘルスケアビジネスに取り組んでいる。多様化する医師のキャリア形成とそれを実現するための「複業」に関する発信と活動を行っている。
ヘルスケアに関わる情報発信と人をつなぐことを目的としたメディア「Dr.心拍のヘルスケア最前線」を2024年9月リリース。
肺がんコミュニティや医師キャリアコミュニティを運営。
各種医療メディアで本業知見を生かした企画立案および連載記事の執筆、医療アプリ監修やAI画像診断アドバイザー、また、ヘルステック関連スタートアップ企業に対する事業提案などのコンサル業務を複数行う。
事業を一緒に考えて歩むことを活動目的としている。

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