Long-COVIDにおける重度の倦怠感とは?

日経メディカルで掲載された執筆記事の要約を公開します。医師の方は下記URLからお読みください。

Long-COVIDにおける重度の倦怠感とは?:Cadetto.jp (nikkeibp.co.jp)

今回紹介するのは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)からの回復後に持続的な後遺症状を抱える患者(いわゆるLong COVID)において最も報告例が多い倦怠感について、ウェブベースでフォローアップした前向き研究の報告です1)

慶應義塾大学の調査によれば、COVID-19診断後3カ月経過した時点で、疲労感・倦怠感、息苦しさ、脱毛、嗅覚障害、筋力低下、睡眠障害、思考力・集中力の低下などが多くの患者に見られ、特に疲労感・倦怠感や息苦しさ、脱毛、睡眠障害、思考力・集中力の低下は6カ月後も続いていました。

本文では、倦怠感の強さを調査する縦断的研究が不足していることから、Long-COVIDのピアサポートグループのメンバーを対象に、倦怠感の重症度やその種類(身体的、精神的)を評価する研究を行ったと述べています。感染発症から約3カ月後(T1)と6カ月後(T2)に、ウェブベースで追跡調査を実施し、239人の患者を対象に調査しました。その結果、85.4%の患者がT1時点で重度の倦怠感を抱えており、T2でも78.7%が重度の倦怠感を報告しました。身体的倦怠感はT1からT2にかけて減少しましたが、精神的倦怠感は変化がありませんでした。

全体として、倦怠感は時間とともに減少する傾向が見られましたが、依然として多くの患者が重度の倦怠感に苦しんでいることが明らかになりました。これが自然に解消されるかどうかについては、現段階では不明です。

実際にCOVID-19診療に携わっていると、重症度に関わらずLong-COVIDを呈するケースを経験します。若い方であっても「復職できなかった」といった話を聞きます。個人的にもLong-COVIDに関心を持っており、日々、最新論文をチェックしているので、今後も引き続き状況を追っていきたいですね。

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文献

1)Van Herck M, Goërtz YMJ, Houben-Wilke S, Machado FVC, Meys R, Delbressine JM, Vaes AW, Burtin C, Posthuma R, Franssen FME, Hajian B, Vijlbrief H, Spies Y, van ‘t Hul AJ, Janssen DJA, Spruit MA. Severe Fatigue in Long COVID: Web-Based Quantitative Follow-up Study in Members of Online Long COVID Support Groups. J Med Internet Res. 2021 Sep 21;23(9):e30274. doi: 10.2196/30274. PMID: 34494964.
Severe Fatigue in Long COVID: Web-Based Quantitative Follow-up Study in Members of Online Long COVID Support Groups – PubMed (nih.gov)

2)COVID-19の後遺症・後遺障害・長期合併症に関する実態調査・研究(厚生労働省資料)
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000798853.pdf

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この記事を書いた人

呼吸器内科の勤務医とライター、ヘルスケアビジネスに取り組んでいる。多様化する医師のキャリア形成とそれを実現するための「複業」に関する発信と活動を行っている。
ヘルスケアに関わる情報発信と人をつなぐことを目的としたメディア「Dr.心拍のヘルスケア最前線」を2024年9月リリース。
肺がんコミュニティや医師キャリアコミュニティを運営。
各種医療メディアで本業知見を生かした企画立案および連載記事の執筆、医療アプリ監修やAI画像診断アドバイザー、また、ヘルステック関連スタートアップ企業に対する事業提案などのコンサル業務を複数行う。
事業を一緒に考えて歩むことを活動目的としている。

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