書評:健康経営を科学する

健康経営に関する新規企業立ち上げにかかわる機会をいただいて、こちらを読了いたしました。

もともと産業医資格などを持っておらず、健康経営に関する知見が不足していました。そのためこちらの書籍を勧めていただいて読んでみました。

健康経営って一言では語れないと思いますが、自分が思っていた以上にエビデンスの構築がなされているんだなと勉強になり、また興味を抱くことができました。

以下に目次を記載しますのでご興味ある方はぜひ!

健康経営を科学する! – 株式会社大修館書店

第1章 健康経営のはじまり

1 はじめに 健康経営という考え方が出てきた背景
 1.1 経営者と従業員の健康
 1.2 従業員の健康づくり対策のはじまり
 1.3 Fitness in Businessでの講演とヘルシーカンパニー
 1.4 社会の高齢化が企業経営にもたらす影響への危惧
 1.5 従業員のライフスタイルと健康との関連を検討する研究の蓄積
2 健康経営研究会の設立と健康経営の普及
 2.1 健康経営研究会の設立とその経緯
 2.2 健康経営の定義の作成とその背景
 2.3 健康経営銘柄と健康経営優良法人認定制度の創設
 2.4 健康経営都市の認定
 2.5 G20 Officials and Industry Round Tableの開催
3 健康経営が必要である理由
 3.1 企業に対する従業員の信頼度の低さと中間管理職への投資の重要性
 3.2 長時間労働、労働生産性の問題
 3.3 人財への投資
 3.4 VUCAの時代を生きる
4 おわりに 健康経営の「深化」

第2章 健康経営の政策と健康経営度調査

1 政府が進める健康経営政策のこれまでとこれから
 1.1 「健康」を再定義する
  1.1.1 健康とは
  1.1.2 これからの健康づくりとは
  1.1.3 個人の行動変容に向けて
  1.1.4 健康経営を通じた健康という価値の再定義と新たな健康づくりの形
 1.2 「健康経営」の今後の取り組み
  1.2.1 健康経営の定義と顕彰制度
  1.2.2 今後の健康経営関連政策
  1.2.3 ヘルスケア政策全体での健康経営の位置付けや関連政策
 1.3 まとめ
2 健康経営度調査票の開発
 2.1 健康経営度調査票の価値
 2.2 健康経営度調査票の構成
 2.3 健康経営度調査票の基盤理論
  2.3.1 健康経営が想定する推進体制
  2.3.2 健康づくりの2つのモデル
  2.3.3 健康経営の「お城」
  2.3.4 健康づくりの4つのアプローチ
  2.3.5 健康経営のPDCA
 2.4 健康経営度調査票の開発と設問項目の変遷
  2.4.1 経営理念・方針
  2.4.2 組織体制
  2.4.3 制度施策・実行
  2.4.4 評価・改善
 2.5 健康経営度調査の結果の活用
  2.5.1 フィードバックシートと調査結果の開示
  2.5.2 データの研究活用
3 健康経営度調査票を用いた研究
 3.1 健康経営に取り組んでいる企業の組織体制
 3.2 健康経営に取り組む企業における従業員の健康
 3.3 健康経営度調査の妥当性①
 3.4 健康経営度調査の妥当性②
 3.5 まとめ

第3章 成果の上がる健康経営の進め方

1 健康プログラムの有効性の確認と品質管理
 1.1 ニーズに基づいたプログラムにするために
  1.1.1 2つの視点
  1.1.2 ニーズの把握
 1.2 健康プログラムの品質評価
  1.2.1 有効性のエビデンスの確認
  1.2.2 安全性の確認
  1.2.3 品質マネジメントの仕組みの確認
 1.3 外部のヘルスケアサービスの活用方法
   1.3.1 外部ヘルスケアサービスの種類とその選定
   1.3.2 外部ヘルスケアサービスの選定の実際
 1.4 担当者の関与
2 リーダーシップサポートの価値と実践
 2.1 リーダーシップサポートとは
 2.2 管理職のリーダーシップが従業員の健康行動に及ぼす影響
  2.2.1 職場における従業員の健康に与える影響
  2.2.2 従業員が実感する組織や管理職による支援
 2.3 管理職に提供すべき資源
  2.3.1 組織的支援の実感を高める要因
  2.3.2 中間管理職がリーダーとしての役割を果たすために必要な事項
 2.4 まとめ
3 健康経営におけるPDCA
 3.1 健康経営におけるPDCA
 3.2 PDCAを活用した産業保健活動
  3.2.1 心の健康づくり計画とPDCA
  3.2.2 労働安全衛生マネジメントシステムとPDCA
 3.3 健康経営とPDCAを活用した産業保健活動の関係
  3.3.1 健康経営とPDCAによる産業保健活動の重なり
  3.3.2 PDCAサイクルでブライト500に!(中小企業の事例)
 3.4 健康経営がうまくいくための8つのエッセンス(仮説)
  3.4.1 アブセンティーイズム・プレゼンティーイズム
  3.4.2 健康問題による生産性の損失
  3.4.3 エッセンス①:経営層のリーダーシップが発揮されている
  3.4.4 エッセンス②:組織の課題とニーズが反映されている
  3.4.5 エッセンス③:方針や目標が戦略的に立てられている
  3.4.6 エッセンス④:担当部署や担当者が権限とともに配置されている
  3.4.7 エッセンス⑤:専門職や専門家が上手に活用されている
  3.4.8 エッセンス⑥:産業保健の取り組みが「見える化」されている
  3.4.9 エッセンス⑦:コラボヘルスが行われている
  3.4.10 エッセンス⑧:マネジメントレビューが機能している
 3.5 現状に合わせた健康経営への取り組み方・関わり方

第4章 プレゼンティーイズムの価値と限界

1 プレゼンティーイズムの概念と要因
 1.1 プレゼンティーイズムの定義
 1.2 プレゼンティーイズムの測定
  1.2.1 健康問題による生産性損失
  1.2.2 プレゼンティーイズム測定ツールのバリエーション
  1.2.3 プレゼンティーイズム測定ツールの信頼性、妥当性および反応性
  1.2.4 プレゼンティーイズムによる経済損失
  1.2.5 プレゼンティーイズム測定への取り組み
 1.3 プレゼンティーイズムの原因と改善のための施策
  1.3.1 施策のプレゼンティーイズム改善のエビデンス
  1.3.2 施策のプレゼンティーイズム改善へのインパクト
 1.4 プレゼンティーイズムの発生に関連する要因
  1.4.1 プレゼンティーイズムの発生要因①:病気の視点
  1.4.2 プレゼンティーイズムの発生要因②:症状の視点
  1.4.3 プレゼンティーイズムの発生要因③:メンタルヘルスの視点
 1.5 職場のプレゼンティーイズム対策のあり方
2 プレゼンティーイズムの要因に関する研究例
 2.1 糖尿病によるプレゼンティーイズム
 2.2 糖尿病とプレゼンティーイズムに関する研究
  2.2.1 研究の背景
  2.2.2 研究①:糖尿病治療によるプレゼンティーイズムの発生
  2.2.3 研究②:糖尿病治療者の重症度とプレゼンティーイズム
  2.2.4 全体の結果のまとめと考察
 2.3 研究結果から考えられる職場での対策
 2.4 結論
3 プレゼンティーイズムを用いた産業保健活動の提案
 3.1 ハイリスク者のスクリーニングへのプレゼンティーイズムの活用
  3.1.1 産業保健実務におけるスクリーニング
  3.1.2 プレゼンティーイズムを活用したスクリーニングの実践例
  3.1.3 プレゼンティーイズムの視点
 3.2 職場復帰支援での活用
  3.2.1 プレゼンティーイズムと職場復帰
  3.2.2 職場復帰支援でのプレゼンティーイズム評価の実施事例
  3.2.3 職場復帰支援でのプレゼンティーイズム評価の価値

第5章 健康経営戦略マップと無形資源

1 健康投資管理会計ガイドラインの開発
 1.1 健康投資管理会計ガイドライン開発の背景
 1.2 開発過程の議論のポイント
 1.3 健康投資管理会計の中で特に重要な要素(概念図、戦略マップ、無形資源)
 1.4 健康投資管理会計の外部機能(情報開示とステークホルダーとの対話)
 1.5 まとめ
2 無形資源の概念と関連研究
 2.1 知覚された組織的支援(Perceived Organizational Support:POS)
  2.1.1 無形資源について
  2.1.2 知覚された組織的支援(POS)とは何か
  2.1.3 知覚された組織的支援(POS)に影響を与える因子とは
  2.1.4 知覚された組織的支援(POS)を測定する方法とは
  2.1.5 知覚された組織的支援(POS)に関する研究
  2.1.6 知覚された管理職支援(Perceived Supervisor Support:PSS)に関する研究  2.1.7 知覚された組織的支援(POS)を高める方法とは
  2.1.8 まとめ
 2.2 職場の社会関係資本(職場のソーシャル・キャピタル)
  2.2.1 社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)の定義
  2.2.2 ソーシャル・キャピタルと健康との経路(職場を例に)
  2.2.3 職場におけるソーシャル・キャピタルの類型とその測定
  2.2.4 職場のソーシャル・キャピタルと健康
  2.2.5 職場のソーシャル・キャピタルと労働生産性に関する研究①:心理的ストレスの影響
  2.2.6 職場のソーシャル・キャピタルと労働生産性に関する研究②:ワーク・エンゲイジメントの影響
  2.2.7 職場のソーシャル・キャピタルを高める方法とは
  2.2.8 職場での健康増進プログラムがもたらす職場のソーシャル・キャピタルへの影響とその効果
  2.2.9 まとめ

第6章 健康経営と事業価値創造

1 健康経営と経営指標
 1.1 経済学から見た健康経営の重要性と研究動向
 1.2 健康経営施策の効果測定
  1.2.1 健康経営の実施と企業業績
  1.2.2 健康経営施策と企業業績
  1.2.3 健康経営の従業員の理解・評価と企業業績
 1.3 健康改善の効果測定
  1.3.1 ワークエンゲージメントと企業業績
  1.3.2 睡眠と企業業績
 1.4 企業にとっての健康経営の位置付け
2 ESG投資、SDGsと健康経営
 2.1 CSR、ESG、SDGsの概念整理
  2.1.1 CSRとは
  2.1.2 ESGとは
  2.1.3 SDGsとは
 2.2 労働安全衛生・健康経営に関する情報開示
  2.2.1 情報開示のためのガイドライン
  2.2.2 日本企業の情報開示の実際
  2.2.3 情報開示の良好事例
 2.3 投資家の関心
 2.4 情報開示の効果と活用
  2.4.1 健康経営度調査における情報開示の評価
  2.4.2 中小企業における情報開示の効果
3 中小企業における健康経営
 3.1 健康経営の成果を出している中小企業
 3.2 健康経営を中小企業に普及させる取り組み
  3.2.1 地域経済団体を基点とした取り組み
  3.2.2 生命保険会社が提供する取り組み
 3.3 まとめ

付録 ベンチマークデータ集
 1 こころの状態
 2 ワーク・エンゲイジメント
 3 仕事に影響を及ぼしている健康問題
 4 プレゼンティーイズム
 5 無形資源

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この記事を書いた人

呼吸器内科の勤務医とライター、ヘルスケアビジネスに取り組んでいる。多様化する医師のキャリア形成とそれを実現するための「複業」に関する発信と活動を行っている。
ヘルスケアに関わる情報発信と人をつなぐことを目的としたメディア「Dr.心拍のヘルスケア最前線」を2024年9月リリース。
肺がんコミュニティや医師キャリアコミュニティを運営。
各種医療メディアで本業知見を生かした企画立案および連載記事の執筆、医療アプリ監修やAI画像診断アドバイザー、また、ヘルステック関連スタートアップ企業に対する事業提案などのコンサル業務を複数行う。
事業を一緒に考えて歩むことを活動目的としている。

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