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2024年度診療報酬改定に臨床医が思う事 | m3.com AI Lab
呼吸器診療が専門の総合病院で勤務しつつ、ヘルスケアビジネスにも取り組むDr.心拍氏が、医療DXに関わるニュースや論文に率直にコメントします。
対象のニュース
【2024年度診療報酬改定】厚生労働省が説明資料を公開、医療ICT関連は
厚生労働省が5日、2024年度診療報酬改定についての説明資料を公開した。医療ICT関連の項目を抜粋する。(後略)
このニュースに着目した理由
毎年診療報酬改定のニュースが流れるものの、勤務医としてその内容を逐一意識している者はそれほど多くはないだろう。私も正直それほど意識してこなかった。しかしながら、医療費削減や今後の医師の働き方改革、相対的給与削減のリスクなどを考えた場合には、勤務医でもきちんと意識しておく必要があると考えたため、このニュースに着目した。
私の見解
今回の診療報酬改定では2つのポイントに注目した。1つは、へき地診療所などが実施するD to P with Nの推進に関して、看護師等遠隔診療補助加算として50点が新規に算定されることとなった。これは点数としては大きくはないが、遠隔診療を現実的に考えた際に非常に重要だと考える。特にへき地などでは看護師のみが患者のもとへ行き、問診やバイタルサインなどの情報をもとに遠隔で医師が診療を行うといったことが想定されるため、そこにきちんと加算がつくということに意味があると考えられる。
日常診療への生かし方
もう一つのポイントは、画像診断支援関連において、画像診断支援AIの活用がこれまで特定機能病院にしか認められていなかったが、救命救急センターを持つ病院にも認められるようになったことである。本来、画像診断支援AIを導入したい施設は専門医不足などを補いたい施設であるのに、これまでの条件ではその臨床的ニーズを満たせないという矛盾した状況であった。ごくわずかの特定の病院でしか算定できなかったのである。
この条件が緩和されたことから、今後は少しずつ普及が期待されるところである。しかしながら今回の加算に関して一点大きな課題を感じたことは、夜間及び休日に読影を行う体制の整備が求められる点である。高度救命救急センターにおいても24時間読影を行える体制を整備している施設は少ない。多くは翌日平日、あるいは週明け平日に読影を行うのが一般的であろう。どこまでの体制整備が必要なのかなどについてはより一層の議論が必要だと考える。