次世代スマートウォッチ外来は何を変革できるのか

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次世代スマートウォッチ外来は何を変革できるのか | m3.com AI Lab

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対象のニュース

杏林大学医学部付属杉並病院、次世代型「スマートウォッチ外来」を7月開設へ | m3.com AI Lab

杏林大学医学部付属杉並病院は、2025年7月2日より、次世代型「スマートウォッチ外来」を開設すると発表した。これは、Apple Watchをはじめとするスマートウォッチやスマートフォンから得られる個人の健康データ(PHR:Personal Health Record)を、診療や健康管理に積極的に活用する新しい試みである。(後略)

このニュースに着目した理由

杏林大学医学部付属杉並病院では、次世代型「スマートウォッチ外来」の開設を発表した。Apple Watchをはじめとするスマートウォッチやスマートフォンから得られる個人の健康データ(PHR:Personal Health Record)を、診療や健康管理に積極的に活用する新しい試みである。

スマートウォッチ外来自体は以前から慶応義塾大学病院のAIホスピタルや昭和医科大学でも行われている。一方で今回は得られたデータをセキュリティが担保された上でクラウド管理でき、また電子カルテからも閲覧できるというところが革新的であり、このニュースに着目した。

私の見解

PHRは様々な試みが行われているものの、それをうまく活用する方法がまだ限定されている印象である。一方でPHRを用いたマネタイズは課題が多く実現が難しい状況と考えられている。今回はPHRを、患者個人は自身のデータ管理を一貫して行いながら、医療従事者側はそれをクラウド管理しながら電子カルテと連携させることで外来時にも活用しやすい整備がなされているところが興味深い。

日常臨床への生かし方

現在はスマートウォッチ外来で用いられるデータや領域は循環器領域や糖尿病領域が多いため活用が限定的である。一方で今後、全診療科でそのPHRデータが一元管理され、電子カルテからでも、そして医療施設間で共有できるようになれば未来は明るいのではないかと思われる。

2025年4月には国の指針「PHRサービス提供者による健診等情報の取扱いに関する基本的指針」(総務省、厚生労働省、経済産業省)が改訂され、それに伴い、2025年6月27日、一般社団法人PHR普及推進協議会と共同で「PHRサービス提供に関わるガイドライン(第4版)」も発表された。今後PHRサービスも普及していくことが望まれる。

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この記事を書いた人

呼吸器内科の勤務医とライター、ヘルスケアビジネスに取り組んでいる。多様化する医師のキャリア形成とそれを実現するための「複業」に関する発信と活動を行っている。
ヘルスケアに関わる情報発信と人をつなぐことを目的としたメディア「Dr.心拍のヘルスケア最前線」を2024年9月リリース。
肺がんコミュニティや医師キャリアコミュニティを運営。
各種医療メディアで本業知見を生かした企画立案および連載記事の執筆、医療アプリ監修やAI画像診断アドバイザー、また、ヘルステック関連スタートアップ企業に対する事業提案などのコンサル業務を複数行う。
事業を一緒に考えて歩むことを活動目的としている。

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