患者サポートプログラム(Patient Support Program、PSP)の取り組み

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テセントリクによるがん治療をサポートするアプリ(中外製薬×Welby)

テセントリクは肺がん、肝細胞がん、乳がんに適応がある「免疫チェックポイント阻害薬」。近年肺がん化学療法に使われる重要薬剤の1つになります。

このアプリはirAEの早期発見と早期対処を目的としており、「自分の体調に関心が薄い、我慢してしまう患者」などに特に推奨されています。

Grade2の副作用を疑う症状があれば受診勧奨するといった機能が備わっています。

メリット

通常化学療法を開始する前に、患者あるいは患者家族に治療について説明し、同意を得てから投与を行います。確かに化学療法の副作用は多岐にわたるため、いわゆる抗がん剤の副作用だけでも1度の説明で理解してもらうのは難しい状況です。そこにこの免疫チェックポイント阻害薬が入ってきて同時に患者に説明してもおそらく副作用に関して一部しか伝わっていないのだと感じています。医師からの説明に加えて薬剤師が説明する、また治療中も定期的に看護師や薬剤師が副作用について問診し、それをもとに医師が診察で確認するような方法を行っています。患者視点ではどんな副作用が出るのか、出たときにどうすればよいのかを自宅でも確認できるという点でこのようなアプリは有用だと考えます。

課題感

一方で患者さんの症状は治療薬だけで出るわけではないので、過剰評価となる可能性があります。通常の診療では、もともと肺癌による症状、あるいはそれ以外の疾患で症状がある患者さんを総合的に判断しています。副作用以外の新規疾患の可能性も含めて考える必要があり、患者さんに副作用に関して過度な不安を与えてしまうリスクもあることを考慮する必要があります。

また、通常免疫チェックポイント阻害薬は他の化学療法と併用で行うケースも多く、その点が加味されていないという点ではやや残念です。本来ならレジメン毎に使えるようなサポートプログラムが望まれますが、製薬企業が独自に行っている現在では難しく、また医療従事者にこのPSPというものが認知されていないためまだまだ課題が多いものと考えられます。

引用

患者さんサポートアプリ「WelbyマイカルテONC」|PLUS CHUGAI 中外製薬医療関係者向けサイト(医師向け)

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この記事を書いた人

呼吸器内科の勤務医とライター、ヘルスケアビジネスに取り組んでいる。多様化する医師のキャリア形成とそれを実現するための「複業」に関する発信と活動を行っている。
ヘルスケアに関わる情報発信と人をつなぐことを目的としたメディア「Dr.心拍のヘルスケア最前線」を2024年9月リリース。
肺がんコミュニティや医師キャリアコミュニティを運営。
各種医療メディアで本業知見を生かした企画立案および連載記事の執筆、医療アプリ監修やAI画像診断アドバイザー、また、ヘルステック関連スタートアップ企業に対する事業提案などのコンサル業務を複数行う。
事業を一緒に考えて歩むことを活動目的としている。

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