さて今回は、iPadでの勉強法や医師の学習のデジタル化について発信している「でじすたねっと先生」がリリースした画期的なアプリ「MOTiCAN」をご紹介します。
自己紹介
Dr.心拍:まずはでじすたねっと先生の簡単な自己紹介をお願いします。
でじすたねっと先生:iPadでの勉強法や医師の学習のデジタル化などを中心にSNSやnoteで発信している「でじすたねっと」と申します。よろしくお願いいたします。
MoTiCANってどんなアプリ?
Dr.心拍:「MOTiCAN」アプリについてまずは簡単に教えてください。
でじすたねっと先生:MOTiCANは医師の病棟業務のToDo管理や内科専門医の取得条件である レポート”J-OSLER”の支援を行うことができるアプリです。
開発経緯
Dr.心拍:ありがとうございます。それではまず、開発の経緯についてお伺いできますでしょうか。
でじすたねっと先生:医師の業務は忙しいことが一般的に言われていますが、紙ベースの業務が主体であることや、医療情報を得ることに時間がかかっていることにも原因があると考えました。また、医師の業務の専門性からこのような課題に気づき開発を行ってくれる企業が乏しいため、自身で開発しようと考えました。
Dr.心拍:ありがとうございます。先生自身が医師ですので、その業務が大変であると実感されますよね。そのような医師としてのご経験をもとに開発しようとされたのですね。
創業への想い
次に質問が重複するかもしれませんが、創業への想いをお聞かせください。
でじすたねっと先生:医療が抱えている課題は多いです。患者さんと向き合う時間を増やすためにも、工夫が必要な状況ですが、「医師が実際に困っていることは医師にしかわからない」という現状がある以上、医師として医療の課題を少しでも改善し、医療の質の向上につなげたいという想いがあります。
Dr.心拍:私も医師ですので、医療現場に多くの課題があることを実感しています。そして医師が課題に感じていることも。ただそれを自分自身で解決しようと行動に起こしたというところはなかなかできることではないので素晴らしいと思います。
創業メンバー3人の出会い
次に創業メンバーとの出会いをお伺いします。どのようなメンバー構成でしょうか。また創業メンバーとの出会いや どうして一緒に歩んでいこうと考えたか、教えてください。
でじすたねっと先生:創業メンバーの1人は大学時代からの同級生です。ゲーマーで、課題解決能力が高いことから、アプリ開発に協力してもらいました。最初は自分自身が勉強していたアプリ開発について教えていたのですが、今では私よりもはるかに上のレベルでアプリ開発を行う優秀な医師です。
もう一人は東京のイベントで知り合いました。医師でありながら、AIエンジニアとして活躍していて、複数の会社を経営しています。今後アプリ開発を行うにあたり、AIは外せないツールであり、お願いして参加してもらいました。
Dr.心拍:ありがとうございます。2人の強力なメンバーと一緒に創業されているのですね。
サービス、プロダクトの詳細
でじすたねっと先生の展開しているサービス、プロダクトについて詳細をお願いします。
でじすたねっと先生:MOTiCANは担当症例のTodo管理や症例管理を行うことができるサービスです。多くの人が紙で行なっている病棟のToDo管理、例えばカルテを書いたこと、処方切れなどをアプリ上で管理できるようになります。 担当病名に紐付けたメモを作成する機能についても最近追加して調整しています。
また、内科専門医の受験資格のためのJ-OSLERでは120症例を登録する必要がありますが、そもそもその症例がどの疾患群という内科学会が定めた分類に振り分けて確認していく必要があります。その分類にしたがって症例を整理する作業にも、結構な時間を要します。
MOTiCANではこの症例整理を自動的に行なってくれます。J-OSLERに基づく表に自動的に分類され、整理した状態で確認することができるので、J-OSLERの本質的な部分に時間を割くことができます。
研究的視点など
Dr.心拍:エビデンス、研究視点、共同研究などについて伺います。今後このようなサービスやエビデンスを作っていきたいというようなお話も聞けると嬉しいです。
でじすたねっと先生:エビデンスや研究についてはまだ実施できていません。J-OSLERに要する時間が少なくなるというエビデンスが出せればよいのですが。
内科J-OSLERについては自身も経験しましたが、非常に負荷の大きな課題です。自身の周囲にもJ-OSLERがあるから内科を避ける医師も多数見てきました。サポートツールがない状況が続いていますので、サポートツールを作ることで内科医志望者を回復することにもつながるのではないかと考えています。
また医師の臨床業務を情報取得の面からサポートし、医師の自己学習に繋げることによって患者さんへの利益につながる機能も追加予定です。
医師の情報取得は論文や医学書からの情報取得が中心となっていると考えているので、論文向けのツールを開発しつつ、医学系出版社の方とも協力してサービス開発を行っています。医学書は売り上げが低下しているというデータもありますが、医師の学習のためには医学書を紙からデジタルにシフトさせたサービスがまだまだ必要であり、そこについても探っていきたいと考えています。
でじすたねっと先生の活動について
Dr.心拍:でじすたねっと先生の活動についても教えてください。
でじすたねっと先生:SNSアカウント[でじすたねっと]としては医学生、医師に役立つデジタルツールの紹介を中心にSNSやnoteでの記事の作成を行なっております。アカウントの根幹であるiPadを使った勉強法についてもnoteやブログ記事としてまとめています。詳細はお伝えできないのですが、医師向けのデジタルツールの開発などにも参加させていただいています。
事業の継続性
Dr.心拍:事業としての継続性、マネタイズポイントについて伺います。今後事業を継続そして発展させていくためにどのような工夫をされていますでしょうか、また収益性をどのように確保するかについて教えてください。
でじすたねっと先生:MOTiCANの収益化については構想はあるものの、現状では決めていない状態です。当分はAmazonのリンクで多少の開発費やサーバー代を賄えればと考えています。大きな出費なく開発できているので、しばらくは、このままの状態で継続していこうと考えています。ありがたいことにいくつかの企業さんからお声かけいただいているので、協業の可能性についても考えています。
Dr.心拍:競合ないしメルクマールとしている他の企業あるいはサービス、プロダクト、意識している企業やサービスなどがあれば共有ください。独自性についても教えてください。
でじすたねっと先生:ヘルステック企業がいくつかありますが、それらの企業が未参入のところについて開発を進め、独自性を高めていくつもりです。逆に大手が開発し、充足しているところについては開発する必要が乏しいと考えているので、各社の動向はチェックするようにしています。
課題感
Dr.心拍:それでは現状のプロダクトやサービスにおける課題感、また資金面や人員的な課題感などがあれば共有ください。
でじすたねっと先生:課題感としては、人員の問題です。いろいろな機能を追加したいものの、人員不足でスピードダウンしている印象もあるため、このような開発に関わってみたい人がいればぜひご連絡いただければ嬉しいです。当分は報酬としてはお支払いできないのですが、アプリ開発のノウハウや、サービス提供の内部についてご覧いただけることがメリットとしてご提供できると考えています。
今後の展望
Dr.心拍:今後の展望について何か考えていることがありましたらお聞かせください。
でじすたねっと先生:現在、スピーディにアプリを開発できるノウハウが整ってきたので、他の医師の声を聞きながら必要なアプリを速やかに開発して提供するということを展望として考えています。ぜひ、ご要望があれば、ご連絡いただけるとうれしいです。
最後に
Dr.心拍:最後に何かお伝えしたいこと、記事を読んだ方へむけて何かメッセージをいただけると嬉しいです。
でじすたねっと先生:J-OSLERで苦労する内容を、まずはアプリで解決していこうと考えていますので、何かアイディアがあれば教えていただければ助かります!