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国内最大級の医用画像総合展「ITEM2024」レポート―Dr. 心拍の「デジタルヘルスUPDATE」(179) | m3.com AI Lab
呼吸器診療が専門の総合病院で勤務しつつ、ヘルスケアビジネスにも取り組むDr.心拍氏を中心とするチームが、日々のデジタルヘルスニュースを解説します。
今回は、Dr.心拍が国内最大級の医用画像総合展とも言える「ITEM2024」に実際に会場参加して感じたことをレポートいたします[1]。ITEM2024は、JRC2024(第83回日本医学放射線学会総会、第80回日本放射線技術学会総会学術大会、第127回日本医学物理学会学術大会、2024国際医用画像総合展)の一環として開催され、最新の医療画像機器及び周辺機器を一同に公開する総合展示会になります。
熱気あふれる会場
さて、初めて参加する展示会ということで少し緊張気味で会場のパシフィコ横浜へ向かいました。駅に着くなり多くのスーツ姿があふれていました。あ、学会に来たなという雰囲気のまま駅からパシフィコ横浜に向かうと徐々に混雑してきました。おそらく放射線科医の先生がたくさんいるんだろうなと、自分の専門分野の学会と比較しながら眺めていました。
医師ならわかると思うのですが、診療科ごとの雰囲気が違うのが学会にも表れているような感じがします。みなさんすごく知的そう。そんな印象の中でITEMの会場に到着し、いざ中に入ってみるとものすごい人と熱気! 「学会のかたわらでこぢんまりとやっている展示会なのかなあ」という予想に反して多くの参加者がさまざまな企業の展示に興味津々とばかりに見入っていました。自分の専門分野の学会の企業展示は休憩がてらちょっと寄る程度のイメージで足を運んだので圧倒されたのを覚えています。
GEヘルスケアが取り組むAI
さて、早速いくつか興味深い取り組みをご紹介させていただきます。GEヘルスケアでは、
①様々なAIアプリケーションの運用がしやすい環境
②手間を増やさず、実際の業務にAIを自然に組み込む
といった取り組みをしています。
出典: GEヘルスケア
現在、さまざまなAIアプリケーションが開発されてきていますが、実際に臨床現場で使用したいと思っても既存のシステムとの相性や、そのワークフローへの組み込み時に課題を感じることも少なくないはずです。せっかくのよいプロダクトもそれを生かせる環境整備がなされなければ普及することはありません。そのようなサポートをGEヘルスケアでは行っているようです。「実際にこのAIアプリケーションを導入したいけれどどうしたらよいかわからない」という場合に力になってくれそうですね。
エルピクセルのAI画像診断×ChatGPT!?
ついに出ました、AI画像診断にもChatGPTが! 「まだ、医薬品医療機器等法未承認品につき販売授与はできません」との記載がありましたが、AI画像診断で最先端を行く(と勝手に思っているだけですが)、エルピクセル株式会社の開発中のこのシステムに興味を持ちました。
医薬品医療機器等法未承認品につき販売授与はできません
最近ChatGPTを用いてレポートを書いたり医学英語論文を作成したりしている医師や医学生が話題となっています。私自身はあまり使いこなせているとはいえませんが、それでも先日chatGPTを一部使用して論文を作成し、無事アクセプトされました。AI画像診断にもChatGPTが使われる未来は目の前まで来ていることでしょう。
肋骨減弱システムとAI画像診断システムを掛け合わせたコニカミノルタ
コニカミノルタはもともと胸部骨減弱画像の提供により、肋骨と重なる部位の肺野の異常影の検知に貢献していました。私自身もクリニックに非常勤勤務していた際に胸部骨減弱画像を使用した経験があります。実際クリニックでは病院とは異なり、すぐにCTを依頼するのはハードルが高いので、単純X線でいかに読影するかが重要となります。その際にこのような機能は読影サポートになります。
ITEMでは、それに加えてAI画像診断支援AIソフトウェアである「CXR Findings-i」、過去画像との比較による差分を画像化した経時差分画像を含めた読影サポートについて知ることができました。
最後に
今回は国内最大級の医用画像総合展とも言える「ITEM2024」のレポートをお届けしました。普段参加している学会とも違った雰囲気を味わうことができ、また新しいテクノロジーをいちはやくそして幅広く知ることができ、非常に興味深い機会となりました。
私個人としてもAI画像診断アドバイザーやヘルステック事業への事業協力を行っているため、引き続き医療AIや医療DXについて学びを進めていきたいと思います。
【参考】
[1]展示会/国際医用画像総合展(ITEM in JRC):一般社団法人 日本画像医療システム工業会【JIRA】 (jira-net.or.jp)
【著者プロフィール】
Dr.心拍 解析・文 (Twitter: @dr_shinpaku)
https://twitter.com/dr_shinpaku
呼吸器内科の勤務医として喘息やCOPD、肺がんから感染症まで地域の基幹病院で幅広く診療している。最近は、医師の働き方改革という名ばかりの施策に不安を抱え、多様化する医師のキャリア形成に関する発信と活動を行っている。また、運営側として関わる一般社団法人 正しい知識を広める会の医師200名と連携しながら、臨床現場の知見や課題感を生かしてヘルスケアビジネスに取り組んでいる。
各種医療メディアで本業知見を生かした企画立案および連載記事の執筆を行うだけでなく、医療アプリ監修やAI画像診断アドバイザーも行う。また、ヘルステック関連スタートアップ企業に対する事業提案などのコンサル業務を複数行い、事業を一緒に考えて歩むことを活動目的としている。