手術室のデジタル化による最善の手術をどこでも享受できる世界を創る、OPExPARK(後編)

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opeXparkによるさらなる飛躍と今後の課題

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(出所:株式会社OPExPARK)

さて、OPExPARKの事業にはもう一つopeXpark(オペパーク)という手術教育サービスがあります。これは、医師に手術プロセスの共有を可能にする手技デジタル教科書プラットフォームです。

これまで手術のノウハウは現場で学ぶ以外に手段がありませんでした。しかしopeXparkを用いることで、手術に必要な戦略・ノウハウ・機器情報をデジタル教科書として利用でき、全世界どこからでも手術の追体験をすることが可能になります。これにより指導医が不足している各国における治療の均てん化を目指します。

opeXparkでは無編集動画を含む手術情報と、執刀医のコメントによって術中の判断や戦略を学ぶことが可能です。若手医師から専門医・熟練した医師まで、幅広い層の医師のニーズを満たすことができると考えており、世界中の医師のプラットフォームを目指しています。

自分が医師になったころの外科系医師と比較すると手術技術習得のための方法が発展してきていることを実感し、今後はこのような医療ITを上手に使いこなせる外科医師が台頭してくるのかもしれませんね。

さて、株式会社OPExPARK代表取締役社長兼 CEOの本田泰教先生にいくつか質問をさせていただきました。

Q1. この事業に参画するにあたって、この技術と想定する将来を見て、最初にどう思われましたか?
本田先生 「手術記録のデータをベンダーフリーで利用し、ソリューションが提供できるポテンシャルはとてつもないと感じた。一方でデータビジネスはなかなか今の日本では難しいのも含めビジネスモデルは一工夫必要だなと感じた。ただ自身が感じていた病院での業務のアナログな環境を変えたい/変えると思った」

本田先生の目の前にある問題解決のために難しいとわかっている世界へあえて飛び込む勇気と行動力に同じ医師として敬意を表します。医師として勤務していると様々な問題点を感じながらついついしょうがないと目を瞑ってしまいがちです。そこで行動に起こせるというのは素晴らしく、着目点も先見性の明だと感じました。

Q2. 実際に携わられていく中で気づかれた、この事業の可能性について、教えてください。
本田先生 「手技のデジタル教科書のプロジェクトは日本中の9割以上の施設から応援してもらっており、本当に自分が実現しなければいけないことだと感じた。同時に、Learning curveを短縮することで自身の二刀流も実現させ、体現したい」

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代表取締役社長・CEO・医師:本田 泰教氏
(出所:株式会社OPExPARK)

これはまさに本田先生自身のvisionでもあるでしょう。大きな課題解決への期待は大きいですよね。難しい、高度な手術であればあるほど症例数も限られる手術に関して、多くの医師が学ぶ機会をもてる事業として私も応援したいと思います。

Q3. 医療従事者が使う、新しいテクノロジーに関心がある人たちに、自分の経験から何かメッセ―ジはありますか?
本田先生 「まだ自分の経験値は少なく偉そうなことはいえないが、興味があるものはとりあえずやってみることが重要だと思う。医療業界以外の方といろいろ接点をもつことで自身の成長にも繋がることは間違いないと思うので飛び込んでみるのがおススメです」

これはまったくの同感で、私自身本業以外のこのようなデジタルヘルスの世界に関心をもったことで、様々な企業の方とお話させていただく機会を得ることができ、視野が広がり新しい挑戦へのハードルも少し低く感じるようになりました。

現在は脳外科領域で活躍するOPExPARK社の事業ですが、今後は幅広い診療科へ拡大し、認知度も向上していくことでしょう。そして、今後10年程度を見据えて考えると、手術という世界が大きく変わるかもしれませんね。今後の事業にも期待しています。

(了)


【出典】

この原稿の執筆に際し、掲載企業からの謝礼は受けとっていません。


株式会社シーエムプラス「LSMIP」から許諾を得て転載する。
手術室のデジタル化による最善の手術をどこでも享受できる世界を創る、OPExPARK(後編) | LSMIP

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この記事を書いた人

呼吸器内科の勤務医として喘息やCOPD、肺がんから感染症まで地域の基幹病院で幅広く診療している。最近は、医師の働き方改革という名ばかりの施策に不安を抱え、多様化する医師のキャリア形成に関する発信と活動を行っている。また、運営側として関わる一般社団法人 正しい知識を広める会の医師200名と連携しながら、臨床現場の知見や課題感を生かしてヘルスケアビジネスに取り組んでいる。

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