手術室のデジタル化による最善の手術をどこでも享受できる世界を創る、OPExPARK (前編)

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OPeLiNKがきっかけで進化したサービス

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(出所:株式会社OPExPARK)

私は内科医なので手術室にはめったにはいるチャンスはありませんが、外科系医師にとって手術というのは一番大切な場となるのではないでしょうか。外科医の同期がいるのでわかりますが、若手のころに暇さえあれば手術に関する医学書を読み、手術日の前日にはファミレスにこもって次の日の手術の予習をしていました。解剖学的な知識がとても大切で、それを立体的に理解していないと手術は難しいですよね。さまざまな手術を見て、助手を行い、また執刀を経験していきながら、いわゆる「一人前の外科医」となっていくのではないでしょうか。

しかしながら、すべての外科医が手術経験に恵まれるわけではありません。高度な手術であれば大学病院や高度医療を専門的に行う施設でなければ見ることもできないかもしれません。一方で患者から見れば名医に手術をしてもらいたいと思うでしょう。少なくとも私が知る外科医で手術の腕をあげたいという思いがない人はいません。多くの手術に入り、多くの執刀を行い、より手術を上手に行うことを望んでいます。

そんななか、OPExPARKはIoT技術を用いて手術室をデジタル化し、世界中の医師がどこにいても現場にいるかのような「手術経験を共有できる場」の提供を実現するためにサービスを展開しています。同社が提供している、OPeLiNK(オペリンク)は、手術室で使用されている様々な医療機器のデータを時間同期して、記録・提示・リアルタイムに配信することを可能にした、手術室の情報融合プラットフォームです。

2014年からAMED (国立研究開発法人日本医療研究開発機構) が、「安全性と日本医療効率の向上を両立するスマート治療室の開発」を支援しています。これは、史上最大規模のプロジェクト「未来医療を実現する先端医療機器・システム研究開発事業」の一環として行われているものです。OPeLiNKは、その次世代治療室SCOT (Smart Cyber Operating Theater) のkey productとして開発され、2020年より販売を開始しています。

様々な手術室内の機器の情報を一元管理し、機器の連携を可能にすることで、統合的に状況を把握しながら手術を行うことが可能となります。手術室外のベテラン医師と情報共有することで、治療の効率性や安全性の向上も期待できます。また、これまで保存されずにいた情報を時間同期して保存する仕組みを搭載しており、手術の改善や解析に活用することも可能です。

現在は手術の記録を行うこと自体は珍しいことではありませんが、時間同期してリアルタイムに配信することで、手術室外のベテラン医師に指示を仰ぐ、あるいは安全に手術を進められるよう見守ってもらうなど、より安心して手術を行える環境になるのではないかと思います。

(次回に続く)


【出典】

この原稿の執筆に際し、掲載企業からの謝礼は受けとっていません。


株式会社シーエムプラス「LSMIP」から許諾を得て転載する。
手術室のデジタル化による最善の手術をどこでも享受できる世界を創る、OPExPARK (前編) | LSMIP

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この記事を書いた人

呼吸器内科の勤務医として喘息やCOPD、肺がんから感染症まで地域の基幹病院で幅広く診療している。最近は、医師の働き方改革という名ばかりの施策に不安を抱え、多様化する医師のキャリア形成に関する発信と活動を行っている。また、運営側として関わる一般社団法人 正しい知識を広める会の医師200名と連携しながら、臨床現場の知見や課題感を生かしてヘルスケアビジネスに取り組んでいる。

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