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遠隔読影とAIのダブルチェックで見落とし減らす試み | m3.com AI Lab
医療DXに関わるニュースや論文に寄せられた医師からの率直なコメントを紹介します。
対象のニュース
肺炎所見を見落とし「ゼロとイチの差は大きい」―佼成病院院長・甲能直幸氏インタビュー | m3.com AI Lab
エムスリー株式会社は現在、遠隔読影とAIを組み合わせ、胸部X線検査における見落としミスを防ぐ事を目的とした「医療安全ソリューション」サービスの開発を行っている。このサービスは、医療機関内で撮影された胸部X線画像を匿名化した上でクラウドデータセンターに送り、放射線科専門医と読影支援AIが所見チェックし、5段階の判定(精査・加療は不要です~治療を必要とします)をフィードバックするというものである。(後略)
このニュースに着目した理由
臨床現場では様々な場面で胸部X線の撮影が行われる。呼吸器症状を呈して受診されれば必ずといっていいほどX線を撮影するが、例えば心疾患で心拡大や胸水を評価する循環器内科や消化器疾患の術前検査で行うこともある。
眼科手術前にルーチンで施行する施設もあるだろう。そのどれもが担当医に読影が任される。普段から多数の胸部X線を読影する医師から、ほとんど見ない医師まで同様に対応しているのが現状である。そのため見落としも散見される。こうした課題を感じており、興味深いと考え今回のニュースに着目した。
私の見解
今回の試みでは、340床程度の中規模でありながら地域の基幹病院として機能するような施設において、遠隔読影とAI画像診断を組み合わせたことにより、34以上の所見及び5段階評価を行っていることが興味深い。どんな優秀なAIでもそれを最後に判断するのは医師であり、専門医による読影とAIを組み合わせることによる相乗効果、また安全面でも非常に有用と考えられる。
日常臨床への生かし方
一方で読影する専門医が放射線科専門医であるというところにやや疑問を感じる。画像診断AIの開発や遠隔読影事業も放射線科専門医が行っていることも同様に疑問視しているが、どの診療科よりも胸部X線を読影しているのは放射線科専門医ではなく呼吸器専門医である。
CTやMRIの読影に関しては放射線科専門医の読影量、読影経験には頭が上がらない。一方で胸部X線は呼吸器専門医、腹部X線は消化器専門医の読影力が優れていると考えている。呼吸器専門医の参画を期待したい。コストの問題もあるため、すぐにどこでも導入というのは難しい一方で、うまく活用することで限られた医療資源を有効に配分することが可能だ。今後の進捗に期待したい。