呼吸器科医が感じる、AI活用の口腔状態評価アプリの有用性

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呼吸器科医が感じる、AI活用の口腔状態評価アプリの有用性 | m3.com AI Lab

呼吸器診療が専門の総合病院で勤務しつつ、ヘルスケアビジネスにも取り組むDr.心拍氏が、医療DXに関わるニュースや論文に率直にコメントします。

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対象のニュース

アイリス、AI活用の口腔状態評価アプリを介護現場で実証実験開始

AI医療機器を手掛けるアイリス株式会社とアサヒグループジャパン株式会社は、訪問介護や看護事業者向けの口腔状態評価アプリ「クチミル」を共同開発し、実証実験を開始した。社会福祉法人や医療機関と協力し、高齢者の口腔健康をAIで評価し、介護職員の業務負担を軽減することを目指す。(後略)

このニュースに着目した理由

ふだん誤嚥性肺炎などの高齢者を診療していると、口腔内が不衛生な患者が非常に多く、定期的に歯科で健診を受けている人が少ないことを感じている。一方で、そもそも口腔内衛生の重要性が一般の方にはあまり意識されておらず、医療従事者として課題を感じていたため、このニュースに着目した。

私の見解

今回、「nodoca」で話題になったAI医療機器開発を行うアイリス株式会社と飲料グループのアサヒグループジャパン株式会社は、東京科学大学大学院 松尾浩一郎教授による口腔内評価方法の監修を受け、「クチミル」という口腔状態評価アプリを開発した。このアプリは介護・看護事業者向けのアプリであり、社会福祉法人や医療機関での実証実験を開始している。

特別なデバイスを必要とせず、スマホ一つで完結するというのは実践的だ。実際にスマホを使って高齢者の口腔状態を記録し、遠隔で歯科医師や歯科衛生士が確認して評価を行う。現場のスタッフの専門的知識がなくても行えるという点で期待したい。

日常診療への生かし方

訪問歯科があるように高齢者の口腔状態の評価は需要が高い分野だと思われる。ついつい身体的な疾患が優先されてしまうが、口腔状態と身体的疾患の関連性についてはいろいろな報告もあり重要であることに間違いない。

一方で受診のハードルが高くなってしまい、かなり悪化してからの受診となることも少なくない。このアプリを通じて早期発見早期治療に結び付くと良いのではないかと思う。

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この記事を書いた人

呼吸器内科の勤務医とライター、ヘルスケアビジネスに取り組んでいる。多様化する医師のキャリア形成とそれを実現するための「複業」に関する発信と活動を行っている。
ヘルスケアに関わる情報発信と人をつなぐことを目的としたメディア「Dr.心拍のヘルスケア最前線」を2024年9月リリース。
肺がんコミュニティや医師キャリアコミュニティを運営。
各種医療メディアで本業知見を生かした企画立案および連載記事の執筆、医療アプリ監修やAI画像診断アドバイザー、また、ヘルステック関連スタートアップ企業に対する事業提案などのコンサル業務を複数行う。
事業を一緒に考えて歩むことを活動目的としている。

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